第8話

 『第8話』 作:姫を守る騎士団さん



気が付けば俺は、療養所のベットの上にいて・・・。

「心配はいりませんけれど、もう少し休んでいってもいいですよ。」

心労がたたったのだと、白衣の娘さんが気遣ってくれる。

俺が連れてきたマエルは、別室で治療中らしい。

よっこらしょと上体を起こすと、用意してあった薬湯らしきものを手渡しながら、そう教えてくれた。

「何があったんですか?」

「それが・・・。」

ちょっと癖のあるその薬湯に、眉を寄せながら

「俺にも良く分からなくて・・・。」

目線を合わせないよう、手にしたカップを見つめながら答え、残りの薬湯を口にする。

そして、空になったカップをもどしながら、こう続けた。

「まだ少し頭がボーっとします。」

全部、本当のことだった。先ほどから少し頭が重く感じる。

「それはいけませんね、もう少し横になっていてください。」

「ありがとう。そうさせてもらいます。」

もぞもぞと、シーツにもぐりこむと、程なく俺は眠りに落ちた。


翌朝、俺は目覚めると、窓から見える外の光景に、今まで不思議に思っていた謎が一気に氷解した。

こんなことになっていたなんて!!

爺さんなんだから、太極拳か乾布摩擦でもしてればいいのに、鉄アレイで鍛えるマエル、マエル、マエル・・・。

額に流れる汗が、朝日を浴びて輝いている、そこには、そんなマエルの姿があった。

いくにんも、いくにんも・・・。

そっかぁ、あちこちにいると思ったら、ほんとにいっぱいいたんだな。

恐るべしマエルの里!!


© Rakuten Group, Inc.